英会話学校講師の英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22歳)を殺害し、逃走を続け、整形手術をし、最後の最後まで逃げ続けた。
リンゼイさんのご両親のことを考えると胸が痛い。
しかもお父さんはこう言っている。
「娘は日本が好きだった。本当に日本が好きで、優しかった娘の思い出を、悲しい事件の思い出だけにしたくない。今後は楽しかったころの思い出とともに日々を過ごしたい」と。
僕も二人の子を持つ親だが、親がどんな思いで子と関わり育み温もりを与え、時には厳しく、その子の未来のために道を見せてあげ、共に歩んできたか。
言葉が見つからないとはこの事だ。
今、日本は家族間の殺傷事件が本当に多い。
僕も10数年前刃物を持ち、父親を殺そうと追っかけ捕まったことがある。
気持ちがわからないでもない。
あの時の感情は憎しみと苦しみしかなかった。
環境、状況、多額の借金、母親の自殺未遂、色々なものが重なり、家族が本格的にバラバラになった時、僕は原因の元を無くせば!と思ってしまった。
今、振り返れば、自分を生んでくれた父親を自分の手で葬る事が理に反している行為であり、社会的、いや生物的にも絶対してはいけない行為だ。それをしようとしていた。
でもその頃は、闇に隠れ、僅かな光さえも見えなくなっていたのは間違いない。
昨日ある人から、その方の友人の相談を受けた。
僕と同じような環境で育ち、今もなお立ち直っておらず、前に向かって歩めていないという。
「田村さんはなんで父親との問題を解消できたのですか?」と聞かれた。
まず、時間が解決してくれた大きな役割だった。
憎い父親と離れる事により、精神的にも落ち着く。
そして、沢山の仲間や諸先輩たちの人としての温もりがあったから。
最後に、子供が生まれ、命の繋がりを感じ、先祖に感謝が出来、この悪因縁、悪いスパイラルは俺の代で断絶し、光を放てる一族にしていこうと決意したから。
僕に救えるかわからない。
今までも、沢山の方々から悩み相談を受けてきたが、悲しいお別れも何回もあった。
「あと数日早く・・・」
「俺にもっと力があれば」
と何度も涙してきた。
人は失ってわかることがある。
そのわかることは本当に大事なもの。
本質的なもの。
でも失ってからじゃ遅い。
だからいつもメッセージさせてもらっている。
うちの社員さんたちもアルバイトの子達も沢山抱えて生きている。
うちに研修に来てくれるみんなも沢山抱えて生きている。
そんな社員さんたちや仲間に光を、道を見せて、歩んで欲しいと毎日思う。
以前、日本はどこに向かっていて、本当に大丈夫なんだろうか?と思っていた時があった。
今年は、自殺者も昨年を超える人数になろうとしている。
引きこもりも168万人もいる。
しかし、僕は日本の志士とここ4年で数多く出会って感じた事がある。
僕たちはテレビなどメディアに流され過ぎていた。ってこと。
メディアではいつでもネガティブな情報ばかりで、本当の真実や、ポジティブな明日に希望が持てる情報を流していない。
日本には驚くほど熱い人たちが沢山いて、日本再生、日本人としての誇りを胸に歩んでいる人たちが各県に一杯いるって事。
この栃木にも沢山いる。
大きな事は出来ないが、今目の前に一生懸命尽くしていく。
そして人は必ず、悲しいお別れが待っている。
その一瞬まで、本気で生きていき、人の温もりを繋げていき、生き方在り方で道を残していきたい。
僕の好きな言葉に
「未来を巻き込み今を生きる」とある。
明日が明るい日になりますように。
リンゼイのご冥福を心からお祈りいたします。