社員、リーダーの深い愛と忍耐が生み出した、心の解放、本当の笑顔を僕は何度も見ています。
みんな僕の自慢の社員です。
致知出版から引用させていただきます。
下記は、心の扉という内容です。
………………………………
●心の扉が開くとき
………………………………
致知営業部 神谷正光
以前、伺った会社で、いまでも忘れられないお話です。
ある会社で、社内木鶏会を導入することが決まりました。
社長は、月刊誌『致知』を社員に配りました。
「これを使って来月から勉強会を始める。
みんな感想を書いてくるように」
簡単な説明のみしました。
翌日、一人の女性社員から辞表が出されました。
驚いたのは、その社長です。
「どうして?」
話を聞いてみると、その女性社員は小さい頃から
足が不自由で、そのためイジメにあっていたとのこと。
それ以来、心を閉じてしまっていました、
社内木鶏会では、自分のことを話さなければならない……。
傷つくことを恐れた彼女は、
会社を辞めることを選択したのでした。
事情を知った社長は、
「気持ちはよく分かった。
5人しかいない会社で君に辞められては困る。
どうしても話したくないと言うのなら、
何も話さなくていい。
しかし、会社で決めた勉強会だから、
参加だけはしてくれないか」
彼女は、その条件をのみ、参加しました。
第1回社内木鶏会──。
彼女は何も話しませんでした。
『致知』も感想文も何も持たず、
その勉強会の間中、ずっと下を向いたまま
うつむいていました。
私は、第1回目ということもあり、
同席していたのですが、彼女の気持を思うと、
いてもたっても居られない心境になりました。
それは、同席されていた社員、社長、
みな同じ気持ちだったと思います。
「君の気持ちを考えると、
やはり参加すること自体辛いことだと思う。
君が参加したい、と思えるようになったら
参加すればいい」
この社長の提案に反して
彼女は、第2回目も参加しました。
しかし、やはり終始、口をつぐんだままでした。
第3回目、第4回目も同じでした。
そして、第10回目のとき──。
いつものように、彼女の番になったとき、社長は、
「○○さん、今日も参加してくれてありがとう。」
と言い、彼女を飛ばそうとしたとき
彼女が恐る恐る手をあげたのです。
皆、彼女を見つめました。
何が起きるのか分かりませんでした。
もちろん社長にもです。
「私、感想文……読んでもいいですか?」
彼女は、10回目にして
初めて感想文を書いてきてくれたのです。
周りに言い知れぬ感動が広がりました。
社長は、嬉しくて嬉しくて、
溢れそうになる涙を堪えるのが
精いっぱいだった、と後で私に教えてくれました。
その社内木鶏会が終わったあと、彼女は、
「社長、これ……」
と言って、かばんの中から、
1冊のファイルを取り出しました。
何とそこには、第1回目の社内木鶏会から
今日にいたるすべての感想文が
ファイルされていました。
彼女の心が開くのに、10か月という時間が
必要だったのです。
おそらく、仲間が真剣に話し合い、
お互いのことを認め合う、
そんな姿をみているうちに、
彼女の心は少しずつ溶けていったのでしょう。
その勉強会が終わった時、私にかかってきた1本の電話。
その社長からの、嬉しい報告でした。
途中から、涙に変わったその社長の声……。
それが、この9か月間の苦しみ、悲しみを表していました。
私も涙しました。
人によっては時間がかかるかもしれません。
でも、信じていれば必ず心の扉は開きます。
それを確信した社内木鶏会でした。